要約すると、
高性能を求めるなら物理的特性は覆らないし、買い替えは無駄だから最初から良いの買っておけ。
軸受けの高級品と低価格品の回転性能の違いは加工精度。
Dura-Aceより真球度の高い鋼球がベアリング屋さんで安価に買える。
やる気のある奴は、暗黒技研さんみたいに後加工で高精度にする事で、ハブ組み換えよりも容易に、ホイール、車両買い替えよりも安価に性能向上も可能。
自ら転がる車、と書いて自転車。
惰性で転がる、転がり抵抗が低い、小さな力で長時間、長距離転がる、減速しにくい事に大きな価値があります。
世間一般で抵抗が大きいと言われる内装3段変速ハブの玉押しが下記2画像です。
どちらも同じ物の筈ですが後者の方が品質が高いように見受けられます。
シングルスピードハブ、FH-IM35の物で
シティーサイクルで一般的なハブダイナモDH-2N40Jの画像はパッと入手できませんでしたが
DH-2N35だと
共に精度を高める為の切削加工は見受けられません。
冷間鍛造技術に定評のあるシマノ製品だと、非切削の状態で予圧を掛けてハブ軸を回すとゴロゴロという手触りがあります。
非切削で、冷間鍛造の製造品質が悪いメーカーの物だとハブ軸を1周回す間に回転しやすい場所としにくい場所があったりして表面仕上げ以前の製品もあったりします。
生産技術の低いメーカーにとって、高精度シールドベアリングを買ってきて圧入するだけで良いというのは、精度の必要な部分はアウトソーシングして投資を抑える事で品質を高めて価格競争力を持つ為には非常に理に適った選択です。
シマノのロードバイク用最低ランクの完組みホイールWH-R501の前ホイールの玉押しがY2TA98030
冷間鍛造の後、精度を高める為の切削加工がされています。
グリスと鋼球の入った転がり軸受けで、コレ位のレベルの製品であれば、殆どの人は充分スムーズに回転すると言う感想を持つ筈です。
Front Hubs
- Shimano Tiagra HB-4500
- Shimano Tiagra HB-4600
- Shimano HB-RS400
Front Wheels
- Shimano WH-RS100-CL-F
- Shimano WH-RS010-F
- Shimano WH-R501-30-F
- Shimano WH-R501-A-F
- Shimano WH-R501-F
- Shimano WH-R500-A-F
- Shimano WH-R500-F
これらの製品の共通部品だそうです。
コレが少しグレードが下がってY2TZ98030になると
こんな感じで玉押しがシティーサイクル同様に非切削加工品になります。
- Shimano Tiagra HB-4600
- Shimano Sora HB-3500
- Shimano Claris HB-2400
- Shimano HB-RS300
- Shimano Alivio HB-T4000
- Shimano Alivio HB-M430
これらのハブに使われているようです。
引用元の情報だと両方にShimano Tiagra HB-4600が載っていますが理由は不明です。
- Shimano Dura-Ace WH-7900-C50-CL-F
- Shimano Dura-Ace WH-7900-C35-TU-F
- Shimano Dura-Ace WH-7900-C35-CL-F
- Shimano Dura-Ace WH-7900-C24-TL-F
- Shimano Dura-Ace WH-7900-C24-CL-F
辺りはコレ。
WH-R501用は精度出す為に削りましたって感じだったけれど、Dura-Aceは磨きましたって感じで加工のランクが上がっているのがご理解いただけると思います。
重いと言われるハブダイナモもShimano DH-3N80辺りになると
ちゃんと切削加工されております。
ベアリングの鋼球も低価格品はバラ玉で、高級品になると隣合う鋼球同士が擦れないようにリテーナーにセットされて組み込まれます。
鋼球自体の品質もDura-Aceグレードだとステンレス球、低グレードだと鋼球になりますが、
ベアリング屋さんの話だと自転車に使用される鋼球の真円度?は高くはなく、使用温度、回転数等から考えても高精度球の使用はオーバースペックだそうです。
実際、80km/hでも80000/60で1333.33m/分でタイヤ周長2mと仮定すると666.66rpm、
全然大した事ないです。
ぶっちゃけ、工数を掛けて切削、研磨と言った加工をすれば精度は出ますが、
低価格が求められる普及価格帯の製品で、工数を掛けずに充分実用的な品質の製品を安定して製造する技術力と、劣化しても補修部品の供給があると言う所がシマノの凄い所ではあります。